18世紀にアブラアンールイ・ブレゲが製作したモデルを範とする現代のブレゲ。その中にあって特異な存在感を発散するのが「タイプXX(トゥエンティ)」のラインである。 なぜブレゲに、このようなスポーティなクロノグラフがあるのか? その謎を解くには、まずブレゲ家5代目当主のルイ‐シャルル・ブレゲについて知る必要がある。
1880年に生まれたルイ‐シャルル・ブレゲは、
スーパーコピー人気時計師ではなく、飛行士であり航空機設計家だった。19世紀末、内燃機関で駆動する自動車が開発されて社会はスピードを速めつつあり、その高速化の夢はやがて大空へと向かうが、これに挑んだのが他ならぬルイ‐シャルル・ブレゲだった。
1907年9月19日。ルイ‐シャルル・ブレゲと弟のジャック・ブレゲ(1881~1939年)は、自ら製作した「ジロプラン(ジャイロプレーン)」を地上60cmまで浮上させることに成功する。これは人間が搭乗し、自力で垂直飛行できる史上初のヘリコプターだった。
さらにルイ‐シャルル・ブレゲは、1909年に「ブレゲ1型機」を製作し、1911年には「ルイ・ブレゲ航空機製造株式会社」を設立した。彼の製作する航空機はフランス軍に採用され、第一次世界大戦での連合軍の勝利を決定づけたと言われている。
一方、時計会社であるブレゲも、空という新たな領域に関心を示し積算計やタキメーターを装備する航空用クロノグラフを開発した。
「私の祖父、ルイ・シャルル-ブレゲが生きた時代、時計はすでに十分に発達していたため、彼が情熱の対象としたのは航空機でした。また、1920年代から多くの時計メーカーがクロノグラフを作りはじめましたが、ブレゲはこれを先取りしパイロット用クロノグラフを製作しました。この技術を基に生まれたのが『タイプXX』です」
ルイ‐シャルル・ブレゲについて、こう語るのはブレゲ7代目のエマニュエル・ブレゲ氏。